漢方薬メーカー研修2
研修は3か月。その後全国に配置されると聞いていた。私はどうしても九州福岡が良いと思っていた。だって生まれ育ったところが落ち着くし何より好きだからだ。家族とも離れたくないし。
研修中もそれは常に周りに匂わせていた。私なりの防御・会社へのアピール方法だった。それを察知したのがメンターMさん。「okeiさん。近いうち飲みに行きませんか?」向こうから声をかけてくれた。何しろ同い年。背格好も似たようなものだし、何より私自身Mさんに興味があった。「良いですよ。ぜひ行きましょう」
2人きりのつもりだったがMさん、気を利かせて他にも何人か呼んでいたらしい。
当日。私含めて5人となった(男3女2)。
朝から晩まで同部屋で約20人で過ごす毎日。気心も知れてきていた。
その中でも特にいつも話すメンバー。
全国各地から来ており、話は盛り上がった。
Mさんもこの日ばかりはメンター・講師という立場を忘れて会社の裏側・各部署の名物人間・仕事上の失敗談や成功談。色々聞けて本当に楽しかった。
ただ、2人きりで差しで飲む場面で「okeiさん。希望の部署・エリアには赴任できないかもですよ。福岡を希望されているのはよくわかりますが。あなたは営業よりむしろ裏方・人事や総務的な全体を見る仕事の方が向いているかも。私はそう感じています」
思いがけない言葉だった。これまで私は営業畑を歩み、いろんな業種・会社でそれなりの実績を上げてきた。だがそれは部分最適だったのかも。全体最適を考える部署で裏方的な働き方をしても良いのかも。その時初めてほかの道が見えた。